AI時代のスマイルカーブ。仕事はなくなるのではなく、変化する

AI時代のマーケティングとビジネスを、スマイルカーブを使って考えてみます。制作や開発といった「作業」の価値が変わる今、どこに軸足を置くべきかを整理します。
※本記事は、既存記事「WEBマーケティングのおさらい。なにが重要?」で紹介したスマイルカーブの、AI時代版です。
制作・開発は「自動化・簡易化」の時代へ
AI時代になり、制作や開発実装といった作業的な部分は、どんどん自動化・簡易化が進んでいます。
製造業の歴史に例えると分かりやすくなります。かつてはすべて職人の手作業で作られていたものが、便利な機械の登場によって「機械を操作できれば作れる」時代になり、さらに工場のライン自動化へと進みました。
制作や開発でも、これとまったく同じことが起きています。コーディング、構築、テスト、施策の実行といった中央部分の工程は、AIによってすでにほぼ「できる」段階まで来ています。
スマイルカーブで見ると、この真ん中の工程は成果への影響度が相対的に下がり、両端である上流工程(企画・設計・PM)と下流工程(CS・サポート・対人)の価値が高まっていく構図です。
ポイント: 作業工程の価値は下がり、両端(上流・下流)の価値が上がる。
【図:AI時代のスマイルカーブ(IT・WEB・システム開発版)】

上流工程:設計と「AIの制御」が人の仕事になる
では、上流で人がやるべきことは何でしょうか。大きく3つあります。
1つ目は、マーケティングと製品・サービスそのものの設計です。製造業と同じく、「誰に向けて、何を、どのように作るのか」を決める部分。ここはAIを使いながらでも、最終的には人が担うべき領域です。
2つ目は、AIへの指示の最適化です。自動化を担うAIに対して、どう動くべきかを設計しないと、おかしな挙動になります。製造業に例えるなら、制御が甘い自動化ラインが不良品ばかり生産してしまうのと同じです。
プロンプトや、Claudeでいうスキルと呼ばれるものは、製造業でいえば「機械の操作マニュアル」にあたります。ただし本命はマニュアル作りではなく、自動化ライン全体を組み、正しく動くように制御することです。
3つ目は、検品です。AIが出したアウトプットを最終確認し、品質を担保する。ここも人がやったほうがいい工程です。
ポイント: 設計・制御・検品。この3つが上流側で人が担う役割になる。
下流工程:CS・対人対応の価値は上がる
作ったものを人に届けたあと、つまり納品後のカスタマーサポートや対人対応。ここは引き続き人が担うべき領域であり、むしろ価値が上がっていきます。
信頼構築や感情の理解といった部分は、AIが作業を代替すればするほど、差がつくポイントになります。もちろん対面である必要はなく、オンラインでの対応でも構いません。
ここで重要なのは、「制作や開発の仕事が自動化されてなくなる」という話ではないということです。上流に行くのか、下流に行くのか。自分の軸足をどちらに移すかという話であり、どちらでも構いません。上流側のスキル、あるいは下流側のスキルを磨いていくことで、仕事はなくなるのではなく、変化します。
ポイント: 仕事はなくなるのではなく変化する。上流か下流か、軸足を選ぶ。
中小企業・店舗こそ、AI時代の恩恵が大きい
逆に、対人サービス業など、もともと制作や開発の業務がなかった事業者には関係ない話かというと、そうではありません。むしろ、かなり大きな恩恵があります。
これまで制作や開発は外注するしかなく、高額でした。しかしこれからは、上流を担える人材だけを確保すれば、制作コスト・開発コスト自体を相当抑えた形で実現できるようになります。
つまり、中小零細企業や店舗が、今までやりたくてもできなかったことをどんどん実行できるようになるということです。これまで「資本力」がチェーン店や大手の強みでしたが、その差を埋められる事業者が増えていきます。
ただし、そのために必要なのはやはり上流と下流のスキルです。どちらもそれなりに難易度があり、上流にはビジネス経験が、下流にはコミュニケーション能力が求められます。それぞれ違う種類のスキルですが、自分の得意な側に軸足を持っていく。これがAI時代のスタンスです。
ポイント: 上流を押さえれば、中小・店舗でも大手並みのことが低コストで実現できる時代になる
まとめ
- 制作・開発などの作業工程は、AIにより自動化・簡易化が進む
- 上流工程では、設計・AIの制御・検品が人の役割になる
- 下流工程では、CS・対人対応の価値がむしろ高まる
- 仕事はなくなるのではなく変化する。自分の得意な側に軸足を移すことが、AI時代のスタンス





